【社会編】2020年度公立高校入試の傾向・対策【受験生必読!】

【社会】2020年度公立高校入試の傾向・対策

2019年度公立高校入試の全国的な出題傾向・難易度から、2020年度の入試傾向・難易度を科目別に予想!
今回は社会の対策・勉強方法について解説します♪

目次

2020年度公立高校入試の社会対策ポイント!

このコラムでは、2019年度公立高校入試から読み取れる、2020年度の受験対策方法を科目別にご紹介します♪

今回は、「社会編」です!

社会では、もちろん都道府県によって出題傾向は異なりますが、全国的に、

・基本的な知識の修得を見る問題
・さまざまな資料やグラフから情報を読み取り、表現する記述問題

という2種類の問題が軸になっています♪

今回は、特に傾向の変化が見られた「さまざまな資料やグラフから情報を読み取る記述問題」について、問題の例を出しながら解説していきます!
受験に向けて役立つ知識が盛り沢山ですので、ぜひ勉強の一つとして読んでみてくださいね♪

社会への興味・関心が問われる!社会現象の記述問題 編

高校入試は現在、大学入試とともに試験内容が変化しています。
移行措置の内容がしっかり出題されるようになったほか、社会問題との繋がりが深くなりました。

大学入試のセンター試験は2020年から「共通テスト」というものに代わるのですが、その文系科目(国語・社会など)における出題方針では「社会との接点を問う」というものが示されているのです。

それにしたがって、高校入試の社会でも同じように、現実社会との接点を問われる問題が増加しています!

例えば、「TPP」「CSR(企業の社会的責任のこと)」「マイクロクレジット」など、ニュースで聞く時事的な単語が出題されたりしているんです。

大学受験を見据えても、高校入試社会の対策は「社会への興味・関心」を持つきっかけとして重要なものになると考えられます。

消費税引き上げの理由、知ってる?

いよいよ今年の10月、消費税率が10%引き上げられます

「消費税率の引き上げ」は、ちょうど受験前に行われるため、時事ネタとして2020年度の高校入試に出題される可能性大のテーマです!!

今までにも、

・裁判員制度
・18歳選挙権

といったテーマが、実施された時期に、複数県の高校受験で出題されました。

以下は、2019年、早くも消費税率の引き上げをテーマとした出題を行った、大分県の入試問題です。

【2019年大分県高校入試問題 大問6】

出典:Educational Network Journal vol.47

解答例
社会保険関係費の増加により、歳出が税収を大幅に上回って赤字が増大しているため。

消費税率の引き上げに関する問題のポイントは2つ。

①消費税引き上げの原因は何か。
②消費税引き上げで発生する問題は何か。

これらをざっくりと理解しておきましょう!

まず、①消費税引き上げの原因は何か、という点について。
これは、上に挙げた大分県の入試問題の解答例がその答えになります。

国は国民から税金を貰い、そのお金を使って活動しているわけですが、《社会保険関係費》の増加によって国の支出が増えて、今までどおりの金額の税金だけではやっていけなくなってしまったんですね。

では、「社会保険関係費」はなぜ増加しているのでしょうか?

社会保険関係費というのは、「医療」「年金」「福祉」「介護」「生活保護」などの公的サービスにかかるお金のことです。
1960年代は失業対策や生活保護などの内容が中心でしたが、高齢化が進む日本では、現在、医療保険年金制度などの社会保険や、老人福祉を中心とする社会福祉、介護などにお金が必要になってきているのです。

高齢化が進むにつれて、介護や年金を必要とする人は増えるので、それらのお金もたくさん必要になります。
つまり、「高齢化が進み、年金や介護に使うお金がたくさん必要になったから」、社会保険関係費が増加しているんです!

次に、②消費税引き上げで発生する問題は何か、について。

これは、「所得の高い人も低い人も全員同じ税率が適用されるので、所得の低い人の負担が大きくなる」ということです。

所得というのは収入のことです。
消費税率が10%になると、裕福な人も貧乏な人もみんな10000円のものを11000円で買わなければいけなくなります

15000円しかもっていないAさんも、11000円払わなければいけません。
一方で1億円持っているBさんだって、11000円しか払わなくて良いのです。

Aさんからしたら、「Bさんお金もってるんだから500円でも多く払ってくれよ・・・もともとお金無いのに、こんなに税金とられたら生活できないよ・・・。」という気持ちになりますよね。

こうして、Aさんはもともとお金を持っていないのに、税金でお金を取られることによって、更に貧乏になってしまいます

このように、消費税率を上げることによって、裕福な人と貧乏な人との格差が広がってしまうという危険性もあるのです・・・。

消費税以外にも税についての問題はよく出題されますので、学校や塾の先生にポイントを聞いて、十分な対策をとっておくようにしましょう!!

裁判員制度って何で始まったの?

国民の中からランダムに選ばれた人が裁判に参加する「裁判員制度」がスタートして10年ほど経ちました。

以下の高校入試問題は、2つのグラフを見て、裁判員制度の狙いを説明するというもの。

【2019年栃木県高校入試問題 大問6】

出典:Educational Network Journal vol.47

解答例
やりたくなかった人の多くが、裁判に参加してよい経験だったと感じているように、裁判員制度は、司法に対する国民の理解を深めることにつながるため。

いかがでしょうか?

なんとなく分かる!という人は多いかもしれませんが、いざ記述問題として書いてみると、うまく言葉に表すことができないのではないでしょうか?

解答例を見ても、「司法」という単語は頭に浮かびづらい気がしますよね・・・。

難しい問題だとは思いますが、公民分野では現代社会の状況や課題を問う問題が多く出題されるため、このような記述問題も一つ一つ理解していくようにしましょう!
その努力は高校入試に留まらず、大学入試での小論文対策にもつながっていきますよ!

また、この裁判員制度の問題は、分野的には公民ですが、例えば裁判員として参加した人の感想が加われば、国語の作文にも利用されてもおかしくないテーマとなります!

国語のテーマ作文と、社会の記述問題は、複数の資料を読み取り、論理的に表現するという点がかなり似ているんですね♪

社会が得意な方への挑戦状!?一見難しい記述問題 編

記述問題のなかには、例年正答率の低い問題や、工夫が凝らされた問題もあります。
難しい記述なんて・・・と思われるかもしれませんが、一方で、点数を稼げたら受験でかなり有利な立場になれるのも事実♪

ここでは、社会が得意な人はもちろん、苦手な人にもオススメの「意外と簡単な記述問題の解き方」や、今後増えてくる「教科書に載ってない歴史を考える記述問題の特徴」を解説します!

海流と季節風の記述問題は、原理を理解すれば意外と簡単!

以下の入試問題は、海流と季節風の影響を考えさせる記述問題。
全国で毎年出題される典型題です!

しかし、このパターンの問題は、条件が複雑になるため、正答率は非常に低くなります。
例えば、3年前、以下とほぼ同じ問題が宮城県で出題されたとき、正答率はわずか9.8%でした。

【2019年静岡県高校入試問題 大問2(5)】

出典:Educational Network Journal vol.47

解答例
温かく湿った空気が寒流の上で冷やされて、濃霧(海霧)が発生するから。

このようなパターンの問題を解くときのポイントは、

・海流は寒流か暖流か
・季節風はどの方向に吹くか
・その結果、どのような天候的な特徴が生じるか

という基本的な原理を整理することです!

上に挙げた静岡県の高校入試問題なら、

・Xが千島海流で寒流であること
・その上を夏の南東の季節風が通過すること
・その結果、霧が生じて日照時間が短くなること

が分かるので、それをもとに解答すれば良いんですね!

同じように、頻出テーマの「やませ(夏に東北地方に吹く冷たい北東の風)」も同じ原理で理解することができるはずです♪

また、石川県では、「スカンジナビア半島の海岸側と内陸側で、海岸側の気温が高いのはなぜか」という出題がありました!
これも、上の例と同じように整理すると、

・スカンジナビア半島の海岸(西側)で流れている北大西洋海流は暖流であること
・その上を偏西風が吹くこと
・その結果、スカンジナビア半島の海岸側の気温が上がること

が分かるので、「暖流である北大西洋海流の上を偏西風が吹くから」が答えになるということが分かりますね♪

教科書に載っていない歴史を考察!資料の読み解きが重要!

以下は、世界恐慌をテーマとした入試問題です。

世界恐慌は、近現代史では頻出のテーマ!
基本的には、《当時、アメリカへの輸出の主力商品であった「生糸」の暴落が、日本経済に大きなダメージを与えた》という内容そのものが、問題として出題されるのですが・・・。

【2019年宮崎県高校入試問題 大問2の2】

出典:Educational Network Journal vol.47

解答例
ウ:まゆの価格が暴落し、収入が激減した
エ:生活を立て直すため、国や県などの呼びかけに応じて、満州に渡った

この宮崎県の高校入試問題では、通常の出題内容が、「世界恐慌によって長野県の満州への移民の数が最も多くなった」という歴史的情報の中に組みこまれています。

つまり、「満州事変」「世界恐慌」という既存の知識を持ったうえで、教科書に載っていない歴史的資料を読み解いていく必要があるのです!
これは今までになかった、新しい出題傾向だと言えます。

大学入試改革で2020年から実施される共通テストにおいても、同様の仮説を検証するタイプの問題がありますので、その影響なのかもしれません・・・!

このような、歴史的資料を読み、教科書では触れられていない内容まで推測しなければならない問題は増えていくと考えられます。

歴史は教科書に載っていることさえ覚えておけば大丈夫!と考えてしまいがちですが、今後はこのような問題にも対応できるように、出来事を広くとらえる必要がでてくるかもしれませんね。

資料を読み取る記述問題の練習をしてみよう!

いかがでしたでしょうか?

資料・グラフから情報を読み取る記述問題といっても、このように様々な傾向があります。
自分の受験する都道府県の傾向なども見て対策していかなければなりません。

しかし、「資料を読み取る」という点はどれも同じ
これは慣れていないと、次第に手も付けられない強敵になってしまいます。

慣れるためには練習あるのみ♪
以下の問題をご覧ください!

【2019年岩手県高校入試問題 大問9】

出典:Educational Network Journal vol.47

岩手県では、毎年、資料を読解する記述問題が出題されています。
この記述問題では、複数の資料それぞれに、必ずメリットとデメリットが含まれているんです。
それだけ読み取れる情報量が多くなっています。

つまり、資料を読み取る練習をするにはぴったりな問題なんです!

上に挙げた2019年度の問題は、太陽光発電導入の利点と課題を見つける内容となっています。
みなさん、3つの資料から太陽光発電を取り入れる上での利点と課題を全て見つけ出して、以下の表を埋めてみてください!

利点資料Ⅰ(ヒント)費用の内容に注目!
資料Ⅱ(ヒント)数が多いということは・・・?
資料Ⅲ(ヒント)雨・曇りだからといって発電量ゼロ%ではない!
課題資料Ⅰ(ヒント)費用を比較すると・・・
資料Ⅱ(ヒント)発電出力を比較すると・・・
資料Ⅲ(ヒント)天候が違うとグラフも・・・

解答はこのコラムの一番最後に載せていますよ~♪

他科目の高校入試対策・勉強方法



解答例
(他にも正解があるかも!学校や塾の先生に聞いてみよう!)

利点資料Ⅰ燃料費やCO2対策費がかかっていないことから、環境への負荷が軽いと考えられる。
資料Ⅱ発電所の数が多いことから、火力発電所に比べると、発電所が建設しやすいと考えられる。
資料Ⅲ天候にかかわらず、日中は一定程度の電力が得られると考えられる。
課題資料Ⅰ発電費用の総額が割高になっているため、火力よりも電気料金が高額になると考えられる。
資料Ⅱ火力と比べると1発電所あたりの発電出力が小さいので、多くの電力を得るためには発電所を多く建設する必要があると考えられる。
資料Ⅲ天候によっては、発電量が十分に得られないため、安定した電力供給が難しいと考えられる。

いかがでしたか?
余裕のある方は、他年度の入試問題にもチャレンジしてみてくださいね♪

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